ワンダフの「振り返り画面」は、ラウンド後に表示される分析ページだ。18ホール分のミスデータを集計して、あなたのラウンドの傾向を見せる。アプリの「顔」とも言える画面。

この画面を、26回作り直した。

最初の振り返り画面 — 数字の墓場

最初に作った振り返り画面は、ひたすら数字が並ぶ画面だった。FWキープ率、パーオン率、パット数、ミスの回数。全部の数字を律儀に表示した。

自分で見て思った。「で、何を練習すればいいの?」

数字が並んでいるだけでは、何が重要なのかわからない。FWキープ率44%が良いのか悪いのかもわからない。パーオン率19%と2パット以内率86%、どちらが改善の優先順位が高いのか。数字を全部出すだけでは、ユーザーに判断を丸投げしているのと同じだ。

データを見せることと、データを「伝える」ことは全く別のスキルだった。

「今日のまとめ」を自動生成する

たどり着いた答えは、画面の一番上に「今日のまとめ」を置くことだった。ラウンドの数字を分析して、最も目立つ問題点をヘッドラインとして自動生成する。

たとえば、ティーショットでOBを3回打った日なら「OBの3打は、練習で取り戻せる打数」。セカンドのスライスが4回出た日なら「ユーティリティのスライスが、今日一番のテーマ」。

さらに、その下に「改善ポイント」を3枚のカードで出す。数字の海からユーザーを救い出して、「次の練習で何をすべきか」をピンポイントで伝える。

これが一番苦労した部分で、20以上の判定パターンを設計した。OBの回数、フェーズごとのミス数、3パットの頻度、特定クラブへのミス集中……。それぞれの閾値を決めて、優先順位をつけて、自然な日本語で出力する。AIではなく、完全にルールベースで。

色で「良い・普通・改善の余地あり」を伝える

KPIの数字には色をつけた。FWキープ率48%以上なら緑、44〜47%なら黄色、44%未満なら赤。パーオン率、2パット以内率、1パット成功率もそれぞれ閾値を設定した。

この閾値をどこに置くかが悩みどころだった。ワンダフのターゲットは90台ゴルファーだ。「90台で回れているから緑」にすると、ほぼ全部緑になって改善意欲が湧かない。かといって「プロ基準」にすると全部赤で萎える。

最終的に、「80台到達」をストレッチ目標として設定した。今は黄色が多くていい。練習を重ねて、少しずつ緑を増やしていく。そういう設計だ。

「詳しく見る」は奥に置く

振り返り画面のもうひとつの大きな判断は、情報の階層化だ。

最初に見えるのは「今日のまとめ」と「KPI」と「一番多かったミス」。ここまでは画面をスクロールしなくても把握できる。その下に「フェーズ別のミス数」のバーチャートがあって、タップすると詳細モーダルが開く。さらにその下に「ラウンドの流れ」「クラブ別ミス」「グリーン周り」「パット詳細」の4つのカードがある。

つまり、ざっくり知りたい人は上だけ見ればいい。深掘りしたい人はカードをタップして、モーダルの中で傾斜とライン別のマトリクスまで見られる。

全部見せるのが親切ではない。「まず何を見るべきか」を決めてあげることが、本当の親切だった。

パットの分析で一番悩んだこと

パットの詳細画面は、特に試行錯誤した。距離ゾーンごとに「1パット成功率」を出したい。でも、ワンダフの入力は傾斜が「上り」「下り」の2択で、「フラット」がない。ラインは「ストレート」「スライス」「フック」の3択。

当初は傾斜3行×ライン3列の9マスのマトリクスを設計したけど、フラットが入力されないなら2行×3列の6マスに減らすしかない。モックを何度も修正して、取得できるデータと表示の整合性を取る作業が延々と続いた。

入力フローで「何を聞くか」の設計が、そのまま分析画面の「何を見せられるか」に直結する。当たり前のことだけど、入力画面と分析画面を行き来しながら設計することの大切さを痛感した。

26回作り直した先に

モックのバージョンが26になった時、ようやくある程度の形にはなった。数字を整理して、色で直感的に伝えて、情報に優先順位をつけて。自分なりに「見やすく、伝わりやすく」を心がけた。

でも、正直なところ確信はない。自分が「見やすい」と思っているこのレイアウトが、実際のユーザーにとって見やすいかどうかは、使ってもらわないとわからない。情報量が多すぎると感じる人もいるだろうし、逆にもっと詳しく見たい人もいるかもしれない。

振り返り画面はワンダフのメインコンテンツだ。ラウンド中の入力はあくまで手段で、ここに表示される分析こそがユーザーに届ける価値そのもの。だからこそ、リリースして終わりにはしたくない。

実際に使ってくれた人の声を聞いて、改修を続けていく。「ここが見づらい」「この数字の意味がわからない」「もっとこういう分析がほしい」。そういうフィードバックひとつひとつが、振り返り画面を本当に良いものにしてくれるはずだ。

26回作り直しても、まだ完成ではない。ユーザーの声を聞いて改善し続ける限り、振り返り画面はずっと「開発中」だ。